ルアンパバーンの生活は4人部屋なので
どうしても同居人との距離は近い。
寂しさが紛れる一方で
ヨーロッパ人は距離が近い人も多かったりして
たまに困る時は多々ある。
ドイツ人の男性は日本が好きらしく
ずっと話しかけてきた。
今はちょっと1人でいたいなあと思い
カーテンをしてベッドにしても声をかけてきて
話をしたりとちょっと戸惑う事はあった。
まあそれでも10日間過ごす物好きな僕とは違い
皆、1泊か2泊すれば
チェックアウトしていくので
少しの間の出来事だったので
それほど気にするような出来事ではなかったです。
僕も滞在が残り3日くらいになると
中国人の若い女の子が同じ部屋に入ってきた。
欧米人の女性が同室はそんなに珍しくないんだけど
中国人の女性は初めてだった。
相手もどうやら同じように思っているようで
すぐに近づいてきて話しかけてきた。
人懐っこい人だ。
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その番は恒例の夕食パーティーがあったので
一緒に参加してご飯を食べて話していた。
そうすると意外なお誘いがあった。
「明日の朝、一緒に托鉢を見に行かない?」
ルアンパバーンが托鉢が有名なのは知っていたけど
長く滞在しながら見に行った事はありませんでした。
正直、坊さんが食べ物を恵んでもらうのを見て
何が楽しいんだろうと思いスルーしてきた。
しかも托鉢が始める時間は朝の6時前。
ルアンパバーンの朝は寒いし
いつも6時起きの僕だけど
これ以上早く起きるのは抵抗があり、
彼女に誘われるまでは行くつもりはなかったです。
しかし誘われたのもこれも何かの縁だなあと思い
もし起きれたら一緒に行くと約束した。
中国人の女の子は嬉しそうにして
明日の朝5時に出発しようと言ってくれた。
5時かあ、思ったより早いなあと思いながら
その日は早く寝る事にしました。
次の日、5時前に僕は奇跡的に目覚めた。
同室の中国の子はまだ起きた気配はない。
先に顔洗ったり準備をして
ホステルの玄関で待つ事にした。
外はまだ暗く、寒そうだ。
暫くして彼女が現れて僕がいる事に驚く。
どうやらまだ寝ていると思っていたらしい。
早速、托鉢をしている場所に向かう事にした。
当然だけど彼女とそんなに話す事はない。
お互い母国語ではない英会話でもあるし、
寒さと眠たさで頭が回らないのもあった。
とりあえず托鉢の場所まで向かうと
途中で坊さんを見かけた。
これから托鉢の場所に行くのだろうか?
後ろを追うような形で托鉢の場所へ2人で向かいました。
広い通りに来ると既に多くの人が
托鉢で食べ物などを渡す為に
椅子に座って並んでいた。
寒い中待っている様子はどこか楽しみにしているようで
日本では考えられない風景でした。
やっぱり国によって文化や習慣は違うんだなあ。
まだ托鉢はする様子はないので近くに座って待つ事に。
やっぱり始まるのは6時からじゃないのか?と
時間が経過すると思えてきた。
まだ5時30分にもなっていないし
お坊さんが現れる様子はなかった。
最初に見かけた坊さん達もどこかの寺院に行ったようで
いつの間にかいなくなっていた。
始まる気配は全くないし、もう寒いから
ホステルに帰ろうかなあと思っていると、
彼女から
「そこのカフェに行こう」
と言い出してきて、外の椅子に座ると
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彼女が2人分、コーヒーを買ってきた。
「朝早くから付き合わせてごめんなさい。コレ奢るから」
と申し訳なさそうに言ってきて
もしかして僕、機嫌悪そうにしてたのかな?と思い反省。
気を遣わせちゃったし、流石にこの空気で
中国の子を置いて1人で帰るわけには行かない。
30分くらい、どうにかして待とうと
頂いたコーヒーを飲みながら、過ごす。
コーヒーは温かくて和む。
ちょっと目も覚めてきたし、彼女と
なんでルアンパバーンへ来たのか
話しながら托鉢が始まるのを待った。
夜が明けてきて薄明るくなってくると
坊さん達が集まってきた。
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いよいよ始まるのかと思い
托鉢の場所に向かう。
これだけ数の坊さんが今までどこにいたのかと
思うくらい突然、大人数が現れた。
托鉢をしている人は10代、20代と若い坊さんが多い。
ラオ語は分からないけど、殆ど会話はなく
無言で渡し、無言で貰っている感じだった。
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ただ渡す側の一般の方はなんだか嬉しそうだった。
これをしたくて深夜から準備して寒い中
待っていたんだろうからな。
本当にお疲れ様でした。
中国人の子もようやく見れたと嬉しそうに
光景を眺めていた。
それを見ていたら僕も帰らないでよかったと心底思えた。
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暫く見ていると
「あそこの寺院、入れるみたいだから行こう」
と話し寺院を見てまわる。
きっと彼女はこれを本当に見たくて
ルアンパバーンまで足を運んだんだろうなあ。
よく考えたら、今回の旅行で
初めて人と一緒に観光したり行動しているんだと
ようやく気づいた。
有難い経験だったと今なら思える。
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すっかり明るくなってきて
托鉢を見れたのを満足した僕らはホステルに戻り
朝食を頂いた。少し話をしたりして。
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彼女は朝食を食べたらすぐに部屋に戻り
準備をしてチェックアウトした。
どうやら2日間だけの滞在だったようだ。
短い付き合いだったけど
一緒に托鉢を見に行った思い出は
ずっと忘れないと思う。
誘ってくれて、ありがとう。