ホテルに到着した僕はチェックインの為に
受付の青年に話すと快く対応してくれる。
とてもフレンドリーな好青年だ。
朝食付きで4500円。
個室という点も含めても同じような価格で
12人部屋だったドバイのドミトリーと比べても
良心的な値段と言える。

昔からある家をホテルにしているようで
歴史を感じる趣きな内装で
青年は親切に食堂に昔使っていた井戸がある事、
家具などが残っている事を説明してくれる。

そして部屋にあるケトルで使える
ティーカップの紅茶やコーヒーを沢山くれた。
とても人懐っこい青年だ。
トルコの人は皆こんな感じなのだろうか?
部屋は決して広くはなく六畳一間くらいな場所に
セミダブルくらいのベッドが占領している。
バッグの物を拡げるスペースはベッド上以外にはないけど
シャワーとトイレは部屋に備えついているし、それでもう十分。
問題はベランダがないので衣類は選択して干すスペースが無い。
青年に洗濯物を干せる場所がないか聞いてみたが
首をかしげて
「有料でならランドリーで預かれるけど」
と少し困った表情で言う。
ここでは2泊しかしないから
急ぎじゃないので洗濯は諦めよう。

少し部屋で休んだら、もう一度
ネットする為のSIMカードを探すのを試みる事にした。
ホテルの場所も分かったので
アンタルヤにいる間はどうにかなりそうだけど
トルコは比較的に長くいる予定だから
無いと不便なのは間違いない。
ただトルコ滞在だけに9000円も払いたくないので
もっと安い店を探してみる事にした。
幸い携帯ショップの店は多いので
まだまだ見て周れる店はいっぱいある。
店頭に貼ってある広告だと値段が分からなかったり
実際は何故か違う事も多いので
とにかく店に入って交渉してみる事にする。

3件目くらいで女の子2人が対応している店で
例のごとく値段を確かめてみる。すると
「6500円であるよ」
と言ってくれた。
決して安くはないけど今までで一番安い。
有難いと思いお願いすると
「パスポートをまず渡してほしい」
と言われて渡す。
なにやらパソコンで入力したりしているようだが
どうにも作業が遅い。
奥にいる上司らしき男とやり取りしているが
トラブっているのか分からないが
不慣れな感じが伝わってくる。
大丈夫かと思いながら1時間待たされてしまった。
ようやく登録を終えたようで
SIMカードを購入する。
その場でネットを使いたいので
念の為セッティングしてもらうように
お願いをすると奥から上司らしき
男が出てきて対応してくれる。
スマホを渡しSIMカードを入れて
作業をしてくれる。また20分くらい待っていると
完了したらしくスマホを返してくれた。
ようやくネットが繋がるのかと喜びながら
画面を見るが繋がっていない。
まだ繋がっていない事を男に聞くが
男は「おかしいなあ」という表情をしながら
またスマホを触ってから、返してくる。
その後驚く言葉が返ってきた。
「SIMカードは問題ないが、アナタのスマホに問題がある」
何言ってんだコイツと思いながら
どうにか設定とか触ってネットが使えるようにならないか
確認するけど「無理」と言ってくる。
何のために1時間半も待ったんだと憤慨しながらも
どうしようもないから
SIMカードを返すからキャンセルして代金を返金してくれと
伝えると更に驚く発言が飛んできた。
「SIMカードは既に貴方の物だ。使えないのは貴方のスマホが原因。
返金は出来ない」
とふざけた事を言ってくる。流石に頭に来て
「使えないSIMカードを渡して金を取るな!金を返せ!」
と怒鳴るが男は返す素振りを見せず
「私にも生活があるからお金は返せない」
など意味不明な事を言ってくる。
何言ってんだコイツは。
ドンドン、ヒートアップしていき
僕の口調は声量も大きくなるが
なんせ、そんなに英語でのボキャブラリーは広くない。
声だけが大きくなり、最初に対応していた女の子のスタッフや
他にいた客がざわつき始めた。
しかし全く頑なに態度を変えない男ともう話してられないから
使えないSIMカードとスマホを握りしめて店を出た。

トルコは皆、友好的で優しいと思っていたから
お金のトラブルで裏切られたような気分になり
居ても立っても居られない気持ちになった。
これ以上ネットの事でお金を使いたくないから
店探しも中止した。
本当に頭に来て適当に入った店で
ケバブを注文してかぶりついた。

もう何もしたくない。
ホテルに帰ってとにかく嫌な事は忘れて寝る事にする。
疲労とストレスが限界を迎えた。
トルコの初日はネットのトラブルに苦しみ
地獄のような一日になってしまった。
もう何も考えたくない。

