宝塚ではトップスターになるような候補の有望な生徒を『路線』と呼ぶらしいですね。
将来のスターを育成する為に下級生時代から
新人公演・バウ公演などで役を与えられ経験を積み
チャンスを掴んでトップスターへの道を歩んでいくスター達。
音楽学校時代から成績が優秀な方が多くスターになるようなオーラを
新人時代から醸し出しており、劇団や組から大切に育てられていきます。
最初の関門と言えるのが新人公演の主演に選ばれる事ではないでしょうか?
男役トップの方はほとんどは新公の主演を3、4回は
務めており1、2回だとトップに上り詰めるのは難しいと思えたりして
新人公演時代にどのような配役を頂けるかは
これからのどのように活躍が出来そうか見えてくる一面です。
ジェンヌさん本人はもちろんのこと、ファンにとっても重大な要素であり
新人公演の楽しみの一面でもあります。
色んな若手のホープがいて活躍しており誰が将来トップスターになるか
まだまだ分からないですが、ほぼ確約しているなあと思うのが
97期 永久輝せあ(花組)
98期 暁千星 (月組)
この2人は間違いない人材だろうと思います。
上級生である95期がスター揃いで人事も停滞中なので
ややとばっちりを受けている感じもしますが。
しかしこのお2人も本当に努力家でありつつ前向きで謙虚です。
スターとして選ばれるのは人格者でもあり
周りの期待のプレッシャーに負けず努力されているなあと感心します。
そんな王道街道をひたすら突っ走るエリートではなく
路線とは言えない新人時代の苦渋を味わいながらスターへ駆け上がったジェンヌさんを
私は本当に好きで心から尊敬しています。
私が初めて宝塚を観劇したのは90期生の初舞台の雪組公演で
「スサノオ/タカラヅカ・グローリー!」という日本神話の話で
当時のトップスター朝海ひかるさんが主演の作品でした。
その時はよく宝塚のスターシステムも理解していなくて
ただ宝塚ってこういう世界なんだと感心していただけだったわけです。
しかし暫く経ってから朝海ひかるさんの経歴を見ると
新人公演主演の経験はなかったわけです。
もちろん、人気や実力がなかったわけではなくて
当時は同じ花組時代に春野さんがいらっしゃって
2番目に重要な役をされていたので路線であったのだと思います。
だけど本人にとっては悔しい思いはしたんじゃないでしょうか?
そういう思いを乗り越えての姿勢はトップになってからも
演技に気迫がこもっていたと感じます。
最近だと元花組の娘役トップである仙名彩世さんも
新人公演でヒロイン経験はなくトップに上り詰めた希少な娘役さん。
退団後のコメントにも
「お姫様のような王道のヒロインの役は、全く頂けませんでした」
と当時の事を振り返り語っておられました。
本当にヒロインに選ばれないのが悔しかったはず。
でも腐らずに人よりも努力を重ねて時間をかけて
トップまで這い上がった方の話は魂が籠っていて心が震えました。
本当にすごいなあと感心しています。
もちろんスターになれるのはごく僅かなジェンヌさんという
厳しい世界なので、スターにはなれなかったけど
素晴らしい宝塚ライフを過ごされた生徒さんは数知れずいると思います。
今はネットの時代なので、その中のエピソードに少し触れるだけでも
私にとって良い刺激になったりして励みになっています。
コロナの中で苦境に立ちつつも挑戦をし続けるジェンヌさん達。
また時間が過ぎてから当時の話を触れさせて頂きたいなあと願っています。
トップ路線は生徒同士を切磋琢磨させる為の素晴らしいシステムですし
ファンも今は誰が路線なのかを考えさせられ楽しめるので
やっぱり宝塚っていいなあと思えます。
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