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さよならカッパドキア、イスタンブールへ

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翌朝も5時に目が覚めた。またあの景色が見たくて、気がついたら外に出ていた。

この日の気球は丘の方へ流れていて、奇岩の谷間を縫うように飛んでいる。

崖にぶつかりそうなギリギリを掠めながら、それでも器用に回避して飛び続けている。

手に汗握る場面が何度もあった。あれは実際にぶつかることもあるのだろう。

乗るのをやめておいて正解だったかもしれない。

それでも昨日とはまた違う迫力があった。2日続けて見て、2日続けて感動した。

宿に戻り、いつもの朝食を食べた。岩の食堂で食べるトルコの朝食も、今日で最後だ。

食べ終えてからパッキングをする。荷物をまとめながら、カッパドキアの4日間を振り返った。

気球、奇岩の谷、ウチヒサル城、原付のおじさん、陽気なオーナー。

昼も夜もフランスパンにチーズとハムで過ごした貧乏飯は正直飽きたが、それでも満足だった。

むしろあのベンチで一人パンをかじっていた時間も含めて、全部ひっくるめてカッパドキアだった気がする。

楽しかった。そしてここで出会った人たちは本当に温かかった。

シャトルバンは予定より30分遅れて到着した。オーナーに荷物を渡しながらお礼を言った。

「また来るから」

そう伝えると、オーナーは例の満面の笑みで手を振ってくれた。本当にいい宿だった。

バンに乗り込むと、見覚えのある顔があった。空港からギョレメへ向かうシャトルで一緒だった若い夫婦だ。

奥さんはこちらに気づいて笑顔を向けてくれたが、どこかぎこちない。

ご主人に至っては完全に消沈している。様子がおかしい。

事情を聞いてみると、どうやらご主人が宿の近くにいた猫を撫でようと手を出したところ、腕をひっかかれたらしい。

日本なら笑い話で済むが、海外では感染症のリスクがある。

しかもこの二人は僕のような長旅ではないから、事前にワクチンも受けていない。

今のところご主人は元気だが、イスタンブールに着いたらすぐに大きな病院へ行くつもりだという。

せっかく楽しみにしていたトルコ旅行が、ふとした油断で台無しになってしまった。

同じ車内にいる僕まで、なんとも言えない気まずい空気に包まれた。

海外では詐欺師だけでなく、動物にも気をつけなければならない。これは僕自身への戒めでもある。

イスタンブール空港まではご一緒させていただいたが、到着後にトイレに行くふりをしてそっとその場を離れた。

その後、二人と会うことはなかった。特に問題なくイスタンブールを楽しんで無事に帰国していると信じている。お大事に。

さて、気持ちを切り替えよう。

イスタンブール。今回は長く滞在するつもりだ。この街で何が待っているか、今から楽しみで仕方ない。

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