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イスタンブール、アテネへ

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朝、目が覚めてまずコーヒーを飲もうとケトルの電源を入れた。うんともすんとも言わない。壊れている。

受付に言えばいいが出発の準備もあるし諦めた。

部屋を見渡すと改めてひどい。

バッグを置こうとした棚は釘が飛び出ていて危ないし、斜めに傾いていてほとんど役に立っていない。

シャワーは天井固定式で水しか出ない上に水圧が弱くチョロチョロとしか出てこない。

空港近くの安宿ほど信用できないものはない。ベトナムでも同じ経験をした。

海外の宿を選ぶ時は内装やインテリアなんてどうでもいい。

紹介写真はあてにならないし、酷い時は全く別の部屋の写真を載せている悪質なものもある。

みんなが楽しそうにパーティーをしている写真とか景色ばかり紹介している宿は要注意だ。

昔の求人雑誌に「わが社はアットホームな会社です」と書いていたブラック企業に似ている。

しっかり口コミを読むのが本当に大切だと実感している。

チェックアウトの受付には数匹の猫に囲まれたお姉さんが対応してくれた。

部屋のボロさと反比例して愛想が良い。

「よく寝れた?今ドライバー呼んでくるから、お茶でも飲んで待っててね」

空港まで近いとはいえ最寄り駅まで3キロ、そこからメトロで移動となるとなかなか体力を消耗する。

ブルガスからの移動疲れもあるし、体調を崩したら元も子もない。今回はホテルの送迎をお願いした。

約10キロの距離で1,200円。ヨーロッパでは破格といっていい。ささやかな贅沢だ。

30分ほどして声をかけてきた30歳前後の愛想の良い男性がドライバーだった。

タクシーというよりワゴンの私有車で、中は広くて乗り心地が良い。客は僕1人。

「日本が好きなんだ。今もサムライはいるのか?」

こういう反応はヨーロッパ人らしくてかわいい。丁寧に答えながら道中を過ごした。

シートの隣には募金箱が置いてある。残っていたトルコリラが300円分ほどあったので入れた。丁寧な接客には心ばかりの感謝を伝えたい。

空港に着くと男は「気をつけてアテネに行ってな」と笑顔で手を振って去っていった。

トルコ人は最後まで優しかった。また来たい、イスタンブール。

少し慣れてきたイスタンブール空港で搭乗手続きを済ませ、ラウンジへ向かった。

朝食もまだだし昼飯がいつ食べられるかも分からない。いつも通りしっかり食べておこう。

プライオリティパスで食べるタダ飯よりおいしいご飯はこの世にないと思っている。

サラダにパン、チーズに生ハム。そしてトルコのお菓子を一通り。ラウンジに並んでいたのはバクラヴァだ。

薄いパイ生地を何十層も重ねてバターで焼き、ピスタチオを挟んでシロップをたっぷり染み込ませた焼き菓子で、

トルコ菓子の王様と呼ばれている。

あの濃厚な甘さにコーヒーを合わせると最高に幸せな気分になる。

お腹いっぱいになったのでこれで昼は食べなくていい。ラウンジ、いつもありがとう。

搭乗時間が近づいてきてゲートへ向かうと、狭い搭乗口に人が溢れかえっていた。

椅子は20席ほどしかないのに乗客は50人以上いる。

床にそのまま座っている人もいるがそもそもスペースが狭すぎて立っているだけで精一杯だ。

航空会社のミスなのか空港側の問題なのか知らないが、過去一最低の待合スペースだった。

ここで今回から何度もお世話になるエーゲ航空について紹介しておこう。

ギリシャ最大の航空会社で、ギリシャ国内線はほぼこの航空会社一択といっていい。

しかし結論から言うと、この旅で利用した航空会社の中でエア・アラビアと並ぶ最悪の2社に堂々ランクインする。

ゲートは人で溢れかえり座る場所もなく、案内もなく、スタッフの対応は雑だ。

そして最も悪名高いのがオーバーブッキングだ。実際にこんな話を聞いた。

サントリーニからアテネへ向かおうとした日本人夫婦が搭乗手続きをすると「席は1つしかない」と言われた。

2人分予約していたのに、だ。奥さんは翌日の便に乗るよう言われ、

今日の便に乗りたいと粘ると「追加で8,000円払えば乗せる」と言い放ったという。

理不尽極まりないが払うしかなかったらしい。

格安LCCだから仕方ないと言えばそれまでだが、予約した席に乗れないのはさすがにどうかと思う。

なるべく避けるに越したことはない。

押し寿司のようにぎゅうぎゅう詰めの列に並びながら飛行機は出発した。

アテネ行き、早くも雲行きが怪しい。

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